奨学金返済が苦しいときの対処法|JASSOの制度から繰上返済の判断まで完全ガイド

「奨学金の返済がきつくて、毎月の家計がカツカツ…」「貯金もしたいのに、返済で精一杯」――そんな悩みを抱えている社会人は、実はとても多いです。この記事では、JASSOが用意している公式の返済負担軽減制度の内容・申請方法から、繰上返済とNISA投資のどちらが得かという判断基準まで、”今すぐ使える”対処法をまとめて解説します。延滞する前に、まずここを読んでください。

目次

奨学金の返済がきついのはあなただけじゃない

「なんで自分だけこんなに苦しいんだろう」と思っていませんか?実は、奨学金返済の重さを感じている人は非常に多く、あなたが特別なわけではありません。

平均的な借入額と月の返済額はどのくらい?

大学生(4年制)が貸与型奨学金を借りた場合、卒業時点の平均額は 310.0 万円、中央値では 278.6 万円とされています(第二種・有利子の場合)。これを20年間で返済すると、毎月の返済額はざっくり約1万5千円〜2万円前後になります。

卒業時点の平均額は 310.0 万円、中央値では 278.6 万円
2022 年 9 月実施 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書(中央労福協)

「月2万円くらいなら余裕じゃないか」と思うかもしれません。でも実際は、家賃・食費・交通費・通信費・交際費……社会人になったとたんに支出は一気に膨らみます。そこに毎月の返済が重なれば、手取りの多くが消えていくのは当然のことです。

借入総額返済期間月々の返済額(目安)
200万円15年約1万3千円
300万円20年約1万5千円
400万円20年約2万円
500万円20年約2万5千円

上記は利息なしの概算です。第二種(有利子)の場合は金利分が加わるため、実際の総返済額はさらに多くなります。

特に返済がきつくなるタイミング

奨学金の返済は卒業後7ヶ月目からスタートします。最初の数年は「まあ払えるかな」と感じていた人でも、次のようなライフイベントが重なると急に苦しくなります。

  • 卒業後の就職がない
  • 結婚・同棲で家賃が増える
  • 出産・育児で妻(夫)の収入が一時的に減る
  • マイホーム購入でローンが加わる
  • 転職・独立で一時的に収入が下がる
  • 親の介護が始まる

こういうタイミングにこそ、JASSOの公式制度が使えます。「苦しい」と感じたときが、制度を調べるベストなタイミングです。

まずここ!JASSOに申請できる公式の「返済負担軽減制度」3選

多くの人が知らないのですが、JASSOには返済が苦しい人向けに、公式の負担軽減制度が複数用意されています。自分でこれらを知り、申請することが、返済地獄から抜け出す最初の一手です。

①返還期限猶予制度:月の支払いを一時的にゼロにできる

「返還期限猶予」は、一定の条件を満たした場合に、最長で通算10年間の間、返済を猶予(一時停止)できる制度です。猶予中は毎月の返済がゼロになります。

返還期限猶予の主な対象条件
失業・離職

雇用保険の失業給付受給中 or 給付終了後の場合

低収入

年収300万円以下(目安)で生活が困難な場合

傷病・入院

病気や怪我で就労困難な状態

産前産後・育児

出産予定日の前後や育児休業期間中

自然災害

被災により生活再建が困難な場合

猶予期間中、利息は発生しません(第一種の場合)。第二種(有利子)は猶予中も利息がつく点に注意が必要ですが、それでも「今の家計を守る」という意味では非常に有効な制度です。

申請はJASSOの「スカラネット・パーソナル」からオンラインで可能。毎年1回、更新手続きが必要です。

②減額返還制度:月額を2分の1・3分の1に減らす

「猶予は使いたくないけど、毎月の支払いを減らしたい」という場合に使えるのが「減額返還制度」です。月の返済額を現在の2分の1または3分の1に減額できます(返済期間は延びます)。

たとえば月2万円の返済をしている人なら、申請によって月1万円または約6,600円に下げることができます。これだけで家計の余裕が大きく変わる方も多いはずです。

減額返還の条件(目安)
年収が325万円以下の場合に申請可能。給与所得者・自営業者ともに対象。年収証明書類の提出が必要です。
猶予と異なり、毎月の返済自体は続く点を覚えておきましょう。

POINT 令和6年4月から減額返還制度が変わりました

1.減額返還方法の追加

当初の返還月額を2分の1または3分の1に減額して返還する方法に加え、4分の1または3分の2に減額して返還する方法も選択できるようになりました。

2.収入基準の緩和

減額返還制度を利用可能な年収上限について、年間収入金額325万円以下(年間所得金額225万円以下)から、年間収入金額400万円以下(年間所得金額300万円以下)に引き上げました。
また、本人が扶養している子供の人数が2人の場合は年間収入金額500万円以下(年間所得金額400万円以下)、3人以上の場合は年間収入金額600万円以下(年間所得金額500万円以下)まで更に引き上げました。

あわせて読みたい
月々の返還額を少なくする(減額返還制度) 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の公式ホームページです。

③申請の流れと絶対に知っておくべき注意点

どちらの制度も、申請はJASSOの公式サイト「スカラネット・パーソナル」から行えます。以下がざっくりした流れです。

  • JASSO「スカラネット・パーソナル」にログイン(IDは奨学生番号)
  • 「返還猶予・減額返還の申請」メニューを選択
  • 対象条件を選んで必要書類(収入証明など)をアップロード
  • 審査後、承認されれば翌月分から適用

注意! 猶予・減額中に延滞があると、制度が使えなくなる場合があります。必ず期限前に申請しましょう。また、猶予・減額の適用は毎年更新が必要です。

繰上返済は本当に得か?「第一種 vs 第二種」で判断が変わる

「余裕ができたら繰上返済した方がいいのか、それとも投資(NISA)に回した方がいいのか」――これは奨学金返済中の社会人が一番迷うポイントです。答えは奨学金の種類(第一種か第二種か)によって大きく変わります

第一種(無利子)なら、繰上返済より投資が合理的な理由

第一種奨学金は無利子です。つまり、返済を急いでも「利息を節約できる」という恩恵がありません。一方、NISAを使った長期・分散投資は、歴史的に年率4〜7%程度のリターンが期待できるとされています。

たとえば余剰資金10万円があったとして、第一種奨学金を10万円繰上返済しても節約できる利息はゼロ円です。しかし同じ10万円を年率5%で20年間運用すると、約26万5千円になる計算です。この差は大きいでしょう。

第一種奨学金を持っている人は「繰上返済より先にNISAを満額活用する」という方針が、数字の上では合理的です。

第二種(有利子)は金利次第で繰上返済が有利になるケース

第二種奨学金には利息がつきます(上限年3%)。現在の金利が低い時期(0.数%台)であれば投資リターンが上回る可能性が高いですが、金利が1%を超えてくると判断が難しくなります。

繰上返済 vs NISA:金利別の判断目安
金利0〜0.5%未満

→ NISAを優先。投資リターンが金利コストを大きく上回る可能性が高い

金利0.5〜1.5%

→ NISA優先+繰上返済を並行。リスク許容度によって配分を調整

金利1.5〜3%

→ 繰上返済を優先。確実に利息コストを削減する方が安全

自分の奨学金の現在の金利は、JASSOの「スカラネット・パーソナル」の「返還状況照会」から確認できます。正確な数字で判断することが大切です。

結局どちらが得か、自分の数字で確認しよう

「自分の場合は繰上返済とNISA、どっちが得なんだろう?」という疑問に対して、理屈の話だけでは実感が湧きにくいですよね。おすすめは、シミュレーターを使って実際の数字を見ること。自分の借入残高・金利・余剰資金を入力するだけで、繰上返済した場合の節約額と、投資した場合の想定利益を比較することができます。

繰上返済 vs 投資、どちらが得か自分で確かめよう

「繰上返済した方がいいのか、NISAに回した方がいいのか」――この迷いにはっきり答えを出せるのはシミュレーターだけです。借入残高・金利・毎月の余剰資金を入力するだけで、すぐに比較結果が出ます。

自分の数字を入れるだけで「繰上返済節約額」と「運用期待値」を瞬時に比較できます

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延滞だけは絶対にNG!信用情報への深刻な影響

「今月ちょっとだけ支払いを遅らせよう」と思ったことがある方もいるかもしれません。ですが奨学金の延滞は、後々の人生に大きな悪影響を与える可能性があります。これだけは絶対に避けてほしいポイントです。

延滞すると具体的に何が起きる?

JASSOの奨学金を延滞すると、段階的に以下のことが起きます。

  • 延滞した分に対して年率3%の延滞金が発生する
  • JASSOから督促の通知(文書・電話)が来る
  • 3ヶ月以上の延滞で個人信用情報機関(CIC等)にブラックリスト登録される
  • 信用情報の傷は原則5年間残り、住宅ローン・クレジットカードの審査に影響する
  • 悪化すると連帯保証人・保証人へ請求が行く

延滞情報が信用情報に載ると、結婚後の住宅ローンや車のローン審査に落ちる可能性があります。「今月だけ…」が取り返しのつかない事態につながることも。

きつくなりそうなら「猶予申請」を先に

大事なのは「延滞する前に申請する」こと。猶予・減額制度は延滞する前でなければ申請が難しくなる場合があります。「来月が払えないかもしれない」と気づいた時点で、すぐにJASSOのスカラネット・パーソナルから手続きを始めてください。

猶予申請は「困ってから」ではなく「困る前に」が鉄則。申請は毎年更新が必要なので、早めに慣れておくのがおすすめです。

返済しながら貯蓄・投資も諦めない家計設計

「返済があるから、投資なんてとても…」と思っていませんか?でも実は、奨学金を返済しながらNISAで資産形成を進めることは、十分に可能です。大事なのはバランスです。

月収別の返済負担率の目安

一般的に、奨学金返済の適切な負担率は手取り月収の10%以内が目安とされています。これを超えている場合は、減額返還や猶予制度の活用を検討すべきサインです。

手取り月収返済10%以内の目安毎月の返済が2万円の場合
18万円1万8千円以内やや重い(11%)
22万円2万2千円以内許容範囲(9%)
25万円2万5千円以内余裕あり(8%)
30万円3万円以内余裕あり(7%)

この目安はあくまで参考です。家族構成・家賃・固定費によって最適な割合は変わります。大切なのは「毎月の収支を把握すること」から始めることです。

奨学金返済中でもNISAを始める意味

投資の最大の武器は「時間」です。奨学金を全額返済してからNISAを始めようとすると、20年後に投資をスタートすることになりかねません。それより、少額でも早く始めた方が長期的なリターンは大きくなります。

たとえば毎月1万円をNISA(オルカンなどのインデックスファンド)に積み立て、残りの1万円を奨学金に充てるというバランスも十分あり得ます。「全額返済してから投資」より「並行して両方やる」の方が、資産形成の観点では合理的なケースが多いのです。

特に第一種(無利子)の人は、NISAを優先して返済は最低限のペースで進めるのが、数字の上では最も効率的です。

NISAを始めるなら証券口座が必要
NISA口座の開設は無料で、ネット証券なら最短数日で始められます。SBI証券はNISA口座数国内最大級で、使いやすい管理ツールが揃っています。

まとめ:「制度を使う → 戦略を立てる」の2ステップで乗り越えよう

奨学金の返済がきつい状況を乗り越えるには、「知っているか、知らないか」の差が非常に大きいです。ここで紹介した内容を振り返ってみましょう。

  • 返済がきつい人は多い。あなただけじゃない
  • JASSOには「返還期限猶予」「減額返還」の公式制度がある。まず申請を検討する
  • 第一種(無利子)は繰上返済より投資(NISA)優先が合理的
  • 第二種(有利子)は金利次第で繰上返済が有利なケースも
  • 延滞は信用情報に傷がつく。きつくなる前に猶予申請が鉄則
  • 返済しながらNISAを並行することは十分可能。時間を味方につけよう

まず制度を使って「毎月の負担」を整え、次に繰上返済か投資かという「戦略」を自分の数字で判断する――この2ステップが、奨学金返済を賢く乗り越えるためのロードマップです。

まず自分の返済負担を数字で確認しよう

「繰上返済したらいくら節約できる?」「NISAで運用したらどうなる?」という疑問に、あなたの数字で答えを出せるのが奨学金シミュレーターです。借入残高・金利・余剰資金を入力するだけで、2つの選択肢の差が一目でわかります。

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